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2009年07月31日(金)

×××イデオロギー 

京都教育大学の集団強姦事件|LPCウィークリー 北原みのりのコラム
 一月以上前の記事だけど、何度読んでも大事なことを言っていると思うので、紹介しておきます。

性に少しでもからむ女が被害者になる事件で女が言われることは、あまりにも似通っている。そのことだけが、事件が変わっても、変わらない。加害者が違っても、変わらない。加害者の社会的地位や年収や通う大学や家族構成によって加害者の報道のされ方が変わっても、被害者の女性は変わらない。
「あなたも、わかっていたんでしょう」

たとえ「わかって」行っていたとして、何が悪いというのだろう。
セックスが好きで、コンパで会った男の子とセックスしてもいいな、むしろそうなりたいな、という思いでコンパに行く女の子の気持ちそのものが罰せられることなんて、どういう思想だと思う。早稲田の男の子と知り合いたいな、恋愛できたらきっと楽しいだろうな、そういう思いでコンパに行く女の子を責めるって、どういう正義だと不思議に思う。
そんな女の子の「期待」と、実際に力づくで強姦される「現実」を結ぶ線なんて、一切、一切、断じてない。ない、ない、ない。ないのに。
(中略)
車に乗っていて、わざと幅寄せされ車を傷つけられた被害者が、次の日車に乗ったからといって責められるだろうか。銀行強盗にあいピストルをつきつけられた銀行職員が、次の日も通常通り働きに行ったら責められるのだろうか。大学に行けないほど傷つき、一生、男と一緒の席でお酒を飲めない被害者が「正しい」被害者の姿だとでもいうんだろうか。たとえば強姦された日に、もし他の男と、自分がしたいと思った男とセックスしたとしたら、彼女が受けた被害は”なかったこと”になるのだろうか。

女の欲望。性犯罪の裏で、まるでないことにされる、女の欲望。都合よく語られ利用される、女の欲望。
こわすぎニッポン。女は、自分のその欲望を注意深く注意深く潜めなくてはいけない。そんなの、もう、うんざりだと、女は絶望しきっているというのに。

えー、なお、これ以降私のしょーもない意見がつらつらと続くのですが、非常にお下品になってしまったことをあらかじめお知らせしておきます。読んで気分悪くなっても自己責任だから。ね!

【More・・・】

 なお、実際の事件とは少し離れて書きます。分からないことが多すぎるし、個別の性暴力被害者を、安易に論評するのは無神経にも程があるってもんですから。
 なんていうかね。もうこの話、何度目だろうって思うんですよ。「お前だって分かってたんだろ」「自衛しなきゃ」「男を挑発するのが悪い」って…あーもう、バッカじゃないの。セックスってのは、2人(とは限らないけど)の合意でヤるもんでしょ。「誰と」「いつどこで」「どんな風に」ヤりたいって、いろんな手段で条件提示して、合意形成をはかるのが「挑発」ってもんでしょ。望む相手と、望んだ形でセックスしたいと意思表示しているひとに、それを無視した形で行為に及んだらレイプに決まってます。問答無用、ハイ、おしまい。
 …って、終わらせてくれないのが社会のジョーシキとかリョーシキとかいうヤツらしいですよ。まったくこの世は女の苦界か、渡る世間は鬼ばかりか。

KoshianX これはひどい あえてこのタグ。基本的には同意するけど、男を挑発しといて手を出したら悪いとか通る理屈じゃねえだろ。そりゃあいくらなんでも勝手すぎる。だいたい男が性欲おおっぴらにすんのだってよかねえだろ 2009/06/19
はてなブックマーク - minori kitahara column: 京都教育大学の集団強姦事件

この人だけがアレってワケじゃないですが、一番典型的なコメントだったので、引用させていただきました。
 いや、「ヤれるもんならヤッてみやがれコラ」とか言って中指おっ立てた、ってんならこう言われるのもまあ分かりますよ?でも違うでしょ。モテそうな服着て、恋人やセックスパートナーを見つけるのが目的の一部となっているような飲み会に参加したってだけで「性欲をおおっぴらに」してるとか言われちゃうわけじゃないですか。「「誰と」「いつどこで」「どんな風に」ヤりたいって、いろんな手段で条件提示して、合意形成をはかる」コミュニケーションの過程自体が、「挑発」だって非難されるじゃないですか。男だったら、こんなのありえないでしょ。何が「挑発」とみなされるか、社会的なコードそのものが男女で非対称につくられているんです。この非対称性は、女性の能動的な性欲や性行動を認めない風潮と、いわばコインの表裏になっています。
 もちろん、女だって非対称性を利用します。コードを内面化しつつ、時には逆手に取りながら性的なコミュニケーションをはかっています。誘っているようにも、何の気もないようにも見える行動をわざととって綱渡りするスリルって、ゾクゾクするほど楽しい。いや、そんなことはどうでもいいんだ。大事なのは、このコードが存在しそれに従うかぎり、女性は能動性を抑制され、セックスをめぐる交渉で不利になってしまうということです。
 これを、性的に奔放な「一部の女」だけの問題だと考えるのは間違いです。超超超、間違ってます。性欲を否認され、性に積極的になれないというのは、たとえば避妊を主体的に実践できないということです。産婦人科の門をくぐれないということです。「したくない」とさえ、はっきりと言えないということです。「深海魚さんって、英語で言うところのビッチだよね」と真顔で言われてしまう(覚えとけよ)私でさえ、未だにこれらのことには相当のしんどさがつきまとうくらいなんだから。「テメーへし折るぞ」くらいは言えても、「ちんこ」とか「まんこ」とか「挿れて」とか、とてもじゃないけど口にできない私です。コンドームや妊娠検査薬どころか、生理用品ひとつ買うにもいちいちビビる私です。

 性的な主体性を奪われるというのは、あらかじめ性暴力に抵抗する力をも奪われている、罠にかけられた状態に等しいのです。そして、無防備なままフラフラしていることはそれ自体、「挑発」扱いされます。その上で「自衛」を求められるということは、つまり「男を挑発しない」ように、性別役割分業と性道徳の二重基準*1によって形作られた近代家族の中に閉じ込められることを意味しています。女子供は家にいなさい、ということです。
 性暴力の被害にあった女性は、被害者である以前に規範に違反した者として扱われるのです。だから彼女は、「落ち度」を審問され罰されなければなりません。学校に行けないほど、一生男と酒が飲めなくなるほどぼろぼろに傷ついて、十分に「罰」を受けた姿を衆目の前に曝してはじめて、彼女は被害者としての資格を得るのです。犠牲者を非難したり、興味本位でかぎまわったりするセカンドレイプの言説は、「レイプ」を道具に女性を脅して、彼女らを「夫の妻」や「父の娘」といった従属的な地位に押しとどめ、公的領域を女性を所有する男性からなるホモソーシャルなものにしてゆく社会的装置になっています。その中で、よりいっそう女性は性的な自己決定が難しくなり、レイピストのつけ入る余地が広がるわけです。その意味で、レイピストとセカンドレイピストは、常に共犯関係にあります。
 こうした装置を正当化しているのが、「チンコ」や「男性ホルモン」に象徴される、「男は本能的に挑発されれば我慢できなくなるんだから、女の側に落ち度がある」という物言いであるわけです。「自分のチンコ一つコントロールできずに男性ホルモンに支配されている男こそ、まず自身のホルモンからの自己防衛を心がけるべきでしょ?」という北原さんの文章は、そのような言説に対するカウンターとして読まれるべきでしょう。「チンコ」ってのは、つまり正当化のイデオロギーなんですよ。いいですか、「チンコ」とはイデオロギーなのだ。そんな「チンコ」は、ぢょっきん★って、するのだよ。
 昔、私の師は言いました。

ジェンダーとセクシュアリティは違う、って言う人、たくさんいますけどね。だからこんなこと言うと怒られるかもしれないけど、セクシュアリティの中にこそ、最もジェンダーが顕わになると思うんだよね。

今なら分かります。彼は、あまりにも正しい。

 ってところで、この記事ですよ。

私には二人の娘がいる。彼女達が私の家の中で、私の家族しかいない茶の間でこの台詞を言うのは構わない。気の置けない友人どおしで話すのもいいだろう。しかし、これを公衆の面前で大声で叫ぶのは全力で止める。

なぜなら、上の正論には、レイピストを「事後」で罰する力は少しはあっても、レイピストを「事前」に止める力は全くないからだ。それどころか上の台詞には、「事件」を起こす確率を高める効果すらある。レイプというのは「相手の合意なしに性欲を満たすこと」とは限らない。"rape"は「強姦」を含むが、元の意味は「陵辱」である。「高慢ちきなあいつを辱めてやれる」のであれば、性器の出し入れを伴う必要はない。「南京虐殺」は英語では"the Rape of Nanking"という。
(中略)
もう20年前の話ではあるが、私はかつて UC Berkeley という大学の生徒だったことがある。公立ではトップとされる学校の一つのようだ。そういう学校でも、一学期に一件以上はレイプがあった。私にとって少なからずショックだったのは、生徒達の捉え方。「そんなにあるのか」ではなく「それしかないのか」だった。そのこともあって、正論を堂々と述べる生徒も決して少なくはなかった。終末ごとのパーティーでこの手の正論を聞かないことはなかった。

しかし、彼/女たちの一人とて、夜道を一人歩きすることはなかった。
404 Blog Not Found:正論即暴挙

何言っちゃってんの、このひと。本気ですか、っていうか正気ですか。
 正論がレイピストに通用するか確認する前にですね、ぜひそのエントリーを、20年前にあなたの同級生だった人たちに見せて、通用するか確かめてみてくださいな。多分、ぶん殴られるから。レイプが日常的に感じられてしまうほどはびこっていようとも、いえ、むしろはびこっているからこそ、それが決して女性の自由を奪う口実に使われないように「公衆の面前で大声で」、「正論を堂々と述べ」つづける必要があったんですよ。それこそ「終末ごと(原文ママ)」にでもね。たとえ私的には、「一人とて、夜道を一人歩きすることはな」いほど注意深い「自衛」をしていたとしても。北原さんの言う

どんな時も性被害にあう女性に向けられる視線の中に、「そはいっても、そういうところにいったら、そうなることってわかってたんじゃない?」という視線が一ミリグラム、一ミリリットル、0.00001ミクロンでも入っているのだったとしたら、こうキッチリ反応しなくてはいけないのだ。

ということを、かれらはよく分かっていたはずです。
 だのに、そんなかれらと机を並べていたはずのあなたは、いったい何をやってるんですか。「レイプ」の危険性が上がるかもしれないからと、「女の正論」を、「茶の間」や「気の置けない友人どおし(原文ママ)」といった私的領域に押し込もうとする。「レイプ」を脅迫のネタとして使う、セカンドレイピストの論理そのまんまじゃないですか。北原さんが正論をもって批判しているのは、レイピストじゃありません。あなたです、あなた。
 そもそもですよ?仮に、堂々と正論を叫ぶことで「あの生意気な女を凹ましたれ」と、被害にあわされる危険性が増す、というご推測が正しかったとしましょう。加害者が被害者に目をつける理由の多くが、「おとなしそうに見え」たり、「警察に届け出ることはない」と考えたためであることhttp://www.iff.co.jp/book/adf/a20003j/252.html)">*2を考慮に入れると、むしろ逆に「コイツは騒ぎそうだからやめとこ」と忌避されるような気もするんですが、まあそれはいいです。今回に限って、譲ります。あなたが正しくも認識しているように、この日本でレイプの「一番出現率が高いのは家庭」であり、見知った仲においてです。だとすれば、「茶の間」や「友人どおし(原文ママ)」こそが、もっとも正論を叫ぶべきではない場所なのと違いますか。ましてや、こんなことを平気で言う父親のいる「茶の間」でなど、もってのほか。

 いいですか。私たちは、男性とは人間である、とずっと教えられてきたんです。いいえ、それどころか、人間とは男性である、とさえ刷り込まれてきました。立派な男であることはいつだって立派な人間であることとイコールで、立派な女であることは往々にしてそうじゃなかった。
 それを今更、都合のいいときだけ「僕たちホントはケダモノでしたー、だから女のコの側でちゃんと気をつけてね!」だなんて、通るわけないでしょバーカバーカ。

■関連記事
「オキナワ」に目覚めたきっかけがCoccoの私に偉そうなことはいえないけれど
「正しい知識」だって、問題だよ

■へびあし
最近注目を浴びた記事で採用されている「お涙ちょうだい」文体とのギャップに驚いている方も多いかと思われますが、どっちかっていうと私はこっちが素です。議論を呼びそうな主張をするときは、反発を抑えようとついつい猫をかぶる癖がございまして。
「無理してる感が伝わってきて読みづらいです」と、オフラインの深海魚を知る読者サマに言われてしまったので、少しスタイルを変えてみました。

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*1 「女のコは結婚するまでエッチしちゃだめだし、結婚したら旦那と以外ヤっちゃいけません。けど男のコは、ある程度はしょうがないってか甲斐性のうちだよね。あ、でも他の人の奥さんとはダメだよ、他人様のモノを傷つけることになるからね!」っていうアレです。そこには必然的に、この規範から逸脱した「娼婦」が必要とされます。算数の問題。
実感がない人は、少し年配の男性に酒でも飲ませて語らせてみるといい

*2 アディクションと家族―日本嗜癖行動学会誌 (67)収録、「性犯罪の被害者と加害者」抄録より
http://www.iff.co.jp/book/adf/a20003j/252.html
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