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2009年05月27日(水)

深海魚は蝶の夢を見る 

実をいうと、しばらく前からときどき、夜の仕事をしている。イマドキの呼び方で言うならば、ちょうちょ(はぁと)ってヤツだ。都内某所の小さな店で、クビにならない程度に適当に働いている。
え、なんでかって?うーん……
何か壮絶なドラマでもでっち上げてやろうかと思ったけれど、もっともらしい話が思いつかなかったのでやめておく。何かのっぴきならない事情があるわけでもなく、「ジェンダーと社会階層を巡る研究の一環として、参与観察を云々かんぬん」なんて崇高な理由があるわけでもなく、ただのなりゆきだ。前にやっていた家庭教師は受験が終わって晴れてお役御免になってしまったし、頼みの綱の奨学金は降りないかもしれないし、今年の後半は忙しくなるので短い時間のアルバイトで生活費を工面しなきゃなんないし…と、ない頭絞って考えた結果、出た答えがこれだというワケだ。少しは迷いもあったけれど、「何を悩んでるんだ、鉄砲玉ブロガー(自称)だろ!」と脳内で何かがささやいたので、えいやっと飛び込んでしまった。

飛んで火に入る深海魚、そして今夜も焼きザカナ。

【More・・・】

ここで公表していなかったのは、意気揚々と「バイトはじめましたー!」と書いておいて、すぐにクビになったりしたら恥ずかしいから、というのが大きい。何せ、入店初日のあたしときたら「今日から入った新しいオブジェですっ!」といわんばかりに固まっていたもんだから。しかもオブジェにしちゃあずいぶん貧相だ。主に顔と胸が。まあ、向いてない方だという自覚はある。だけどそれを言ったら、あたしに向いてる仕事なんて、おそらくこの世に存在しないのだから、だましだましやっていくしかない。
一応、面白いこともある。おとなしい人だと思っていたお姉さんが、飲みすぎてものすごいオラオラ営業を始めて、客が半分涙目になっていたりとか。昔、日雇い派遣のバイトをしていたという人が来て、仕事を忘れてロマンチックさのかけらもないグッド●ィルの悪口で数時間盛り上がったりとか。ちなみに、今まで一番恥ずかしかったのは、トイレの個室(更衣室がないので)で着替えていたら鍵をかけ忘れて、客に開けられちゃったときだ。幸いほとんど着てしまった後なので、笑い話ですんだ。
ときどき「ああ、あたしだめだ…みんなの足引っ張ってる…」と凹んだりもするけど、ただのバイトちゃんが「デキるお水」になりたいわけでもないから、ま、いっか★ですませることにしている。
…雇ってる方としては、それですまされちゃ困るんだろうけど。ホント、いつもすいませんすいませんごめんなさい(平伏)

そんなわけだから、オフラインの知り合いには割と素直に話している。もちろん知られたくない相手はいるし、言う機会がなければ言わないけれど。
ちなみに、久々に会った幼なじみにバイトのことを教えたら、「あたしも金なくてそういうの考えたけど、そこまで堕ちられないわ」と言われた。「そうかな。例えば誰か男のコにお酒を注いだとして、『女のコらしい気遣い』だと思われるくらいなら『ちょww職業病自重www』って思われたほうが、あたしはマシ」と返したら、なんだか納得したようなしないような、狐につままれたような顔をしていた。まあ、深海魚は男のコの「グラスに酒を注ぐ」というより「頭から酒を注ぐ」系のキャラなので、実際にお酌をしてやったところで返ってくる反応はせいぜい「どうしたんスか、新型インフルエンザ?」くらいのものだろうけど。

で、何で今日突然公表するのかというと、栗本薫の訃報である。あたしは彼女の作品をまともに読んだことはない。立ち読みしたのだって数えるほどだし、中島梓と同一人物だということも、つい最近まで知らなかった。けれど、ライトノベルを読み漁っていた中学生や高校生のあたしは、本屋で「グイン・サーガ」がずらーっと並べられた棚を、いつも横目で眺めながら大きくなった。あたしが読み散らし、愛好してきたものたちが世に出てくる土台となったシーンを作った人だということも知っていた。ひとつの時代が、終わったと思った。
夕方の出勤中、駅で売られていたスポーツ新聞の見出しで彼女の死を知った。街には髪を蝶のように高く盛り上げた同業者たちが、たくさん歩いていた。あたしも外巻きの奇跡的な寝ぐせをそのまま固めた「なんちゃって盛り」でその中に混ざり、ケータイのブラウザでニュースを見た。客に営業メールを打ちながら。友達には決して使わない絵文字や顔文字をたっぷりサービスした、我ながら目がチカチカしてきそうな文面を送信する合間に画面を切り替え、彼女の病のことや残された作品のことを読む。しばらくそんなことをしていたら、「あたし何やってんだろ」と、なんだか意味もなく切なくなってきてしまった。
そんな気持ちを誰かと共有したかったけれど、誰にぶつけていいかわからなかったので、とりあえずここで吐き出しておく。

へびあし
自分の今の肩書きを「夜の繁華街で働く中国系の若い女性」とか表現してみると、その字面がかもし出す物々しいイメージにちょっと噴出しそうになる。もっともあたしは、「年配のお客さんの中には嫌がる人もいるから」出自を隠すように指示されていたり、するわけだけど。

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テーマ : お水な夜仕事 - ジャンル : 就職・お仕事

タグ : 御バカ日記 アルバイト 女の子 栗本薫 中島梓 ちょうちょ

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