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2008年10月25日(土)

大阪府知事不要論 

橋下知事、女子高生を泣かす…意見交換でマジ反論 - 社会:ZAKZAK
痛いニュース(ノ∀`):橋下知事、高校生相手にマジ反論。“自己責任”に女子高生号泣…私学助成削減めぐる意見交換会

愚かだ。どうしようもないほど愚かだ。愚かでないというのなら、それは単にひどい人だということで、つまりバカかクズかの二択である。
誰がって、もちろん橋下大阪府知事がだ。今日は美容室に行って髪を金色(というか、もはや黄色)に染め直し、夕方からはライブに出かけてPlastic Treeの竜太朗さんの声に包まれながら夢見心地で頭を振りまくり、その後おいしいお酒も飲んで非常に上機嫌だったのに、帰ってくるなりこんなニュースを見せられて、あたしはとても気分がわるい。これが正論に見えてしまう人は、きっと一足先に教育予算削減の犠牲になった被害者なのだろうと思うと、同情を禁じえない。

【More・・・】

まず一般論として、学力(ここではテストの成績くらいの意味で使わせてもらう)は親の所得と比例する傾向があるというのは、少しでも教育問題に関心がある人間の間では常識だろう。え、知らなかった?じゃあ、今日ひとつ賢くなれてよかったですね。
受験で有利な成績をえられるほどの学力を身につけるのに、惜しみなく塾通いをさせたり家庭教師をつけたり本を買い与えたりできる家の子どもと、そんな余裕もなくバイトに明け暮れなければならない子どもと、どちらがやりやすいかは言うまでもない。こうして豊かな家庭の子どもがよい教育環境を手に入れてさらに成績を伸ばし、高い学歴を得て高収入の職につく。そして格差は再生産される。そりゃ、中には不利な条件を跳ね返して才能を発揮する子もいるだろう。橋下さんもそうだったのだろうとは思う。しかし、厳しいことに変わりはないのだ。たとえこの直談判しにいった子たちにそれができても、同じような境遇のほかの誰かが蹴落とされるのならば、何も解決してはいない。
教育環境を整備したり学費を援助して、安く質のいい教育を受けられるようになれば、階層の固定化を緩和することができる。私学助成金は、まさにそういう役割を果たしているのだ。これは、同じく橋下府政の中で削減されようとしている社会教育・文化施設にも言えることだ。どのような文化的背景を持っているかは将来の選択に大きく影響するが、これも育ってきた環境や家庭状況に大きく左右されてしまう。そのときに無料または安価に文化的なものに触れることができる施設が身近にあるかどうかは大きい(余談だけれど、どのような文化的背景を持っているかが個人の形成に重要なインパクトをもっているからこそ、何が公によって広められ伝えられるべき文化であるか、というのは政治的に争われるべきなのだ。「日本の伝統」とかで片付く問題ではない)。私学助成金の削減は、運営が厳しくなった学校側による授業料値上げと、直接家庭にわたる授業料軽減助成の減少のダブルパンチとなって、学校に通うためのコストを引き上げる。そうなれば当然、高校進学をあきらめなくてはいけなくなる子や学費を得るために時間を使わざるをえず、勉強に集中できない子が出てくる。
高校は義務教育ではないのだから無理して行かなければいいと言われるかもしれないが、日本の高校進学率は今では97.6%だという。国民の大多数が進学する、いわばユニバーサル・アクセス化した教育段階は、もはや自分の価値を高めて周りと差をつけるための「ぜいたく品」ではなく、行かなければ社会に出るにあたって大きな不利益をこうむる代物になっている。もともと裕福な家庭の子どもと比べて学力的に不利になりやすいので公立に合格するのは難しく、かといって私立高校は経済的に通えない、となると貧困層は「どうせ高校には行けないのだから」と、早い段階で勉強に対する意欲を失ってしまうことになる。そうなれば本人たちが損をするだけでなく、将来安定した職に就けずに生活保護にたよる可能性の高い、希望を失った階層が固定化されることになり、いやな話だが治安上のリスクにもなる。成員全員が高い政治参加能力を持っていることを前提とした、民主主義制度にとっても不利益である。「最後は生活保護がある」からいい、というのは下策だ。ていうかあなた、社会保障費だって削減しようとしてるじゃん。
それでも高校生たちは高いのを承知で私立に行ったんじゃないかって?それはそうだけどね、かれらは私学助成金を今までどおりもらえる、という前提の下でそういう選択をしたんだよ。勝手に条件を変えておいて「条件をみて自分で選んだんでしょ」なんていうのは、筋がまったく通らない。ついでに言えば、橋下知事を選んでもいない。高校生だもん。これは公正な競争の前提となる機会均等を保障しろ、という話なのだから、競争だから仕方ないというのだっておかしい。ていうかね、あたし自身私立高校出身で、いわゆる「家計の急変」ってヤツで退学を考えたこともあったし、実際に同じような状況でやめていった人もいた。家計が苦しくて、学年で1ケタしかなれない特待生から外れてしまえば、即座に中退せざるをえないと言っていた同級生もいた。もしあの時、予算が減らされて少しでも負担が増えていたら…そう思うとまったく他人事と思えないよ。
あーもう。あたし高校キライだったから、こんな「高校教育は大事だ」みたいな記事、ほんとうは書きたくないのに。それもこれも、ポストが赤いのも全部橋下さんが悪いのだ。

それでも、もっと優先順位の高い、たとえば今すぐやらないと飢えて死ぬ人が大勢出るような政策があって、そっちにお金を使うとどうしても私学助成金まで回らないから理解してくれ、というのならまだわかる。けれどその場合、橋下さんには、どこにどうしてお金が必要で、それはなぜ他のところからとってくるわけにはいかないのかについて説明責任が生じる。ましてや「子どもが笑う大阪」と教育重視を公約にかかげ、学力向上をうるさく言ってきたのは彼自身である。実際、高校生たちも「アメリカ軍に渡すお金」や「道路」なんてそんなにいらないと思います、とそれを問うている。なのに「僕はそうは思わない」じゃ、まったく答えになっていない。根拠も説明もなく「思う・思わない」ではなしが済むのは小学校の学級会までだっての。あげくに「日本は基本的に自己責任。それがいやなら国を変えるか、日本から出て行くしかない」だってさ。あたしは橋下さんがいうところの「自己責任」が日本の原理原則だとはちっとも思わないけれど、仮にそうだとしたって、国の方針にすべて従っていればいいのだったら何のための知事職だ。高校生たちは、何も国の政策についての文句を橋下さんに言っているわけではない。大阪府の私学助成金という府知事が権限と責任を持つ事柄についての見識を問うているのだ。「これは僕の政治判断です」といいながら、自分の政治判断の責任さえとらず、国家に転嫁するのなら、もう大阪府知事なんていらない。国が直接統治すればいいのだ。彼は自分で自分の存在意義を掘りくずしているとしか思えない。
第一、本当に自己責任で誰も助けてくれない社会なら、弱者はイチかバチかあらゆる手段でゴネて、あわよくば少しでも持てる者からむしりとるのが合理的ということになってしまう。最近はやりのモンスター・なんちゃらこそが、そのような社会でのあるべき人間像である。だって、誰も助けてくれないなら自分でやるしかないでしょ。最初から負けるとわかっているのに、「公正」な競争のルールなど知ったことか。そんなもので腹はふくれないのだ、ってね。弱者がおとなしく敗北を受け入れて「我慢」しなければならないなんて、不自然極まりない話なのだ。

誤解のないようにいっておくけれど、あたしは高校生相手に「マジ反論」したのが大人気ない、といっているわけではない。「マジ」でやってこの程度だということに絶望しているのである。動画と報道を見るかぎり、彼はひとつも正しいことを言っていない。橋下さんは高校生を説得できなくても私学助成金を削減できるが、高校生は橋下さんを説得しなければ削減を阻止できない。そんな非対称な条件下で、はなから聞く耳を持たない相手に議論のすり替えをくりかえされ、自分の判断を問われているのに「じゃあ、あなたが政治家になって変えればいい」なんて開き直られたら、そりゃ、無力感と悔しさで涙も出るよ。「それは私が政治家になって変えることじゃないです」という女子生徒のことばは、この一連のやり取りの中でただひとつ、正論と呼ぶに値する箇所だ。
たしかにこの子たちは議論が上手くないかもしれない。おかしいところだらけの橋下さんの発言に反応が追いつかず、的確な反駁ができていないように見える。ほらほら、知事さんこんなに全力でボケてるんだから、ちゃんとツッコんだげないと。大阪の人でしょ?と言いたくなってしまう(偏見)。けれど、議論の立て方を身につけるには訓練が必要である。かれらはまさにその訓練の途上にありながら、「高校」という訓練の機会さえ奪うような施策と戦っているのだ。断言してもいいけど、あたしが高校生のころはやはり上手くツッコめなかっただろうし、今だってこうやって時間をかけられるブログならともかく、目の前で上手くできる自信はない。それに、高校生の議論下手は、議論そのものを拒絶する橋下さんの態度を一切、免罪しないのである。

ずっと「お前んとこの知事って…w」って笑いものにされてきた元都民としては、橋下さんのおかげで大阪の人と同病相憐れむ仲になれて前々からうれしく思っていた。それが最近じゃ、言動をながめているだけで持病の低血圧まで治りそうで、まったく結構なことだと思う(棒読み)

参考:高等教育の無償化について
国際人権規約です(高等教育の無償化)
ちなみに、高等学校は後期中等教育に分類されています。

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テーマ : 教育問題 - ジャンル : 政治・経済

タグ : 橋下徹 私学助成金 大阪 教育

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Comment

長いし読み辛いですよ?
高校生共は人のせいにしすぎですね
何処まで甘えればよろしいんですかな?
LongHorn |  2009.09.26(土) 07:36 | URL |  【編集】
●なんと。
どうも、はじめまして。
1年近くも前の記事に、わざわざコメントをありがとうございます。確かにいま読み返すと、ことばが固くて無意味にイヤミったらしいですね。すみません、よくない癖なのです。精進します。

人のせいに…ってどの辺がですか?どこまで甘えるも何も、このコたちは今ある以上のものを要求してはいませんけれども。単に、現状で与えられているものさえ奪ってこれ以上不利にしないでくれと言っているだけでしょう。それとも、この当時の大阪府内の私立高生はみんな、もらいすぎの甘えすぎだったとおっしゃるのでしょうか。
それに、高校生や高校進学を考える中学生のうちの、いったいどのくらいが、私学助成金程度の額さえ他者に負担させずに学費を自分でなんとかできるというのでしょう?自慢じゃないですが、あたしは脛、かじりまくりでしたよ。LongHornさんは、全部自力でまかなわれたと思ってよろしいのですね?
お金持ちの家に生まれたコは親に甘えます。それができない貧しい家のコが、それよりはるかにささやかな額を政府に要求するのが「甘え」ですか?お金の出どころでなく本人に入った額で比較すれば、このニュースに出てきた高校生やかれらと同じ境遇の生徒さんのほうが、よほど少ない金額でがんばっています。

現に橋下さんもそうお考えになったようで、その後低所得家庭向けには削減分を補填する別の補助をつくられたようですけど(うろ覚えですいません)、LongHornさんはそれにも反対されるということでいいのでしょうか。でしたらどうぞ、知事に抗議なり落選運動なり、なさるといいと思います。
深海魚 |  2009.09.26(土) 09:33 | URL |  【編集】

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