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2008年07月20日(日)

健康と思想、健康の思想 

■ここのところ思うことがあって、外食するときはなるべく健康食系のレストランで食べることにしています。それも、「素材にこだわってます」くらいのよくあるものではなくて、ベジタリアンとか、マクロビオティックとか、そういうある程度体系化された方法論にのっとっている店を選んでいます。
最近訪れた店のひとつは、青山のPURE CAFE。植物由来材料のみで作られた、軽食とケーキがメインのお店です。
動物性食品一切不使用
左上が私の頼んだキャラメルバナナプディングで、右側が友人のオーガニック薬効ティーとグレインサラダ。画面には入ってませんが、私はこのほかにアイスのオーガニックコーヒーも注文してます。

私:「やばい、何このプディング超おいしいんだけど!」
友:「おー、よかったじゃん」
私:「あのねあのね、あたしケーキとか結構好きなんだけど、普通に売ってるやつって甘すぎたりこってりしすぎたりしてそんなにたくさん食べる気にならないのね。でもこれ、甘すぎないの。でも味気ないわけじゃなくて絶妙なの!!」
友:「そ、そう…」 ←私のハイテンションについていけなかったらしい

いやー、悪いね妙なことに付きあわせて。あ、このケーキは本当に美味かったので、機会があればぜひどうぞ。写真がぼやけてるせいで全然おいしそうに見えませんけど。

【More・・・】

もう一軒、VEGAN Healing Cafeでひよこ豆のハンバーグも試してきました。こちらの方は本当に「豆」という感じです。やっぱり、ベジタリアンフードはスイーツに限りますね。横文字のはやり言葉をこれ見よがしに使ってみました、はい。このお店、ホームページを見るとだいぶトンじゃってる感じですが、実際に行ってみると店内はすごく落ち着いていて、置かれている本を手に取りながら何時間でも居座れそうな雰囲気でした(迷惑)
そう、本棚が設置されてるんです。マクロビオティックやベジタリアンの健康法やレシピ本に混ざって、占いの本と平和・人権関係のブックレットも並んでいるのが非常に示唆的ですが。というわけでその中から適当に一冊選んで、パラパラと読んでみる。
マクロビオティック食事法〈上〉マクロビオティック食事法〈上〉
(1989/12)
久司 道夫久司アヴェリン偕代

商品詳細を見る
一見して思ったのは、びっくりするほど優生主義的だな、ということでした。著者は現代の人間が肉体的にも精神的にも「生物学的」に劣化しているとして、その根拠としてさまざまな病気や障害、離婚の増加や悲惨な事件などをあげています。これらの増加と肉食や砂糖の使用量増加とが連動している(と、著者は思っている)ことから、かれらの提唱する「正しい」食事を(近代)家族の中で実践することによって、問題を改善できると考えています。恋愛結婚は何をもたらしたか (ちくま新書)なんかをご覧になった方ならお分かりかと思いますが、今の人間は「生物学的」に劣化していると考えて、一夫一婦制に基づく「正しい」家庭作りと生殖によって人間を「生物学的に」改善しようとするのは、モロに近代的な優生思想なわけです。当然、近代のジェンダー観もそのまま踏襲。男性の家事・育児参加を推奨したり女性が働きに出ることを認めたりとある程度政治的正しさへの配慮はしようとしているのですが、根本的にわかっていないので空回っている、という感じ。特に、マクロビオティック実践者にも同性愛者やひとり暮らしを好む人がいることを認めたうえで、「しかし、マクロビィオティックの食事を実践するようになってからひとり暮らしをする者が以前より同居を好むようになった例もある」(注:引用は正確ではありません)とか書いてあるところは、ちょっと待てそれまずいだろ、と内心ツッコんでしまいました。そのうちマクロビオティックをやれば、同性愛者が「正常な」異性愛者になります、とか言い出すんじゃないでしょうか。
科学の言葉づかいをやたらと利用している(つまり、疑似科学)こともふくめて、近代社会を批判しようとしているのに、拠って立つ論理が近代主義から出られていない、という印象を受けました。

■で、どうしてこんなことをしているのかといいますと。今までの好き放題の暮らしを反省して、深海魚も自分の「自然な」身体性に立ち返り、「健康」志向の生活を始めてみることにしました、なんて話ではまったくもってないわけです。
実際、PURE CAFEで遅いお昼を食べたその夜にロックアップ行って、ジャンクフードつまみに怪しい彩色の酒をかっくらいながらタバコすぱすぱ吸ってましたし。当然、昨今の健康ブームとロックアップが元来持ち合わせている生化学趣味から作られたであろう健康ドリンク系のカクテルは不味そうだから一切頼んでないし。貧乏学生のクセにあちこち遊びには出かけたい私が何を節約するかといえば当然自宅での食費であるわけで、野菜はスーパーの安売り、肉や加工食品は百円ショップというように「同じ使い道のものならば安いほう」を徹底した結果、身につけたスキルが「食べ物を買うときはあえて原材料名表示を見ない」だという酷いありさまですし。
そもそも、上の本の感想からも、私がマクロビオティックのみならず「ヘルシー」なんていうゆるいものも含めて、多くの「健康的な」食事法や生活法に共有される現代人が劣化して云々、という世界観に批判的であることは見て取れるでしょう。

まあ、動機の9割がたは「おいしそうだったから」「めずらしいものが食べたかったから」なのですが、残りの1割についてちょっと書いておきたいと思います。
マクロビオティックでも、ロハスでもローフードでも何でもかまいませんが、ていうか食事法じゃなくてもかまわないのですが、理論と実践が体系化されている健康法は、ただ単に個人の身体的健康というだけにはとどまらないものが多いのです。霊的なものへの感受性や自然との調和を通して、平和で持続可能な社会を作る…っていうのが典型的ですね。ピースでエコでフェアでフェミ。って、これは辻本清美。
問題は、健康と自然重視が必ず両立する、という価値観にあります。かれらは近代科学を「自然を外部化し、征服対象とみなすもの」として批判したりするのですが、自然が人類と必ず調和的で人間にいい影響しか及ぼさないと考えるのもまた、「自然」を一枚岩で人類に対して極端かつ一様な態度しかとりえない存在とみなす点で、自然を人類と切り離して外部化する人間中心主義的な態度だと思うのです。そして、現代の生活は反自然的である=不健康に違いない、となって、さまざまな国や時代のデータの都合のいい部分を切り貼りしてまで今の人間がいかに不健康であるかを証明しようとしてしまう。上のマクロビ本に典型的に見られるように。
たとえば、持続可能な社会を作るためならばちょっとくらい先進国の人間の寿命が縮んだり、栄養状態が悪くなったりして健康を害したっていいじゃないか、もともと恵まれてるんだからそのくらいの犠牲は払うべきだ、というのならば、それはそれで一貫した思想だとは思うのです。けれど、そういう方向にはいかないんですね。特に宗教的な動機づけがしにくい日本では難しいでしょう。結果、「健康」を前面に押し出すことになってしまう。そうすると、健康増進法にみられるような「われわれの身体はそのままでは不健康なので、健康になるように日々努めなければならない」という、背景に医療費の削減と労働できる「健康」な身体の維持、という目的のある思想に取り込まれてしまう気がしてならないのです。現代社会のあり方に抵抗するはずが、現代社会の枠組みを維持再生産する方向に働きかねません。「科学主義」を批判しているのに、擬似科学というやり方で科学の言説を利用しなければ自分の方法論を正当化できないのは、その典型的な現われだと思います。
この矛盾は、もっと通俗的な「健康ブーム」にも通底しています。というか、そちらのほうは個人にとって「健康」であることはいいことだから、という名目で「健康」それ自体を道徳的な義務とみなすイデオロギーと、完全な共犯関係にあるのでしょう。社会変革への志向が希薄で個人の健康にのみ焦点を当てているので、それに抵抗しようとすら思っていない感じです。ここまで書いたことはまだ何の裏づけも取っていない思いつきの段階な上に、まともに推敲していないために文章がひどいことになってそうなので、遠慮なくツッコミをいただきたいところですが。

「健康ブーム」からマクロビオティック、健康増進法、さらにはそれらの根底にあるだろう「われわれは不健康である」という意識(一昔前、半健康人と呼ばれたようなアレです)までひっくるめて、現代の「食と健康」にどんな背景があって何をもたらしているか、ちょっと腰をすえて考えてみたいな、と思いました。「サプリメントとデトックスの思想」とかそんな切り口で。
医学や衛生学、栄養学の歴史や近代家族論、医療社会学、それにジェンダー論(「癒し」や「ヘルシー」が美容と結びつけられたりして、女性により深く受容されているので)と、ぱっと思いついただけで山ほど参照しなきゃいけないものが出てきてかなり大変そうではありますが、まあ無理せずじっくりと取り組みたいと思います。あ、あと「食育」ってのも多分関連が深いよなあ。
というわけで、カフェでお茶をすすってた頭軽そうな金髪小娘は、実はこんなことを考えていたのでした。その手の店に多いシンプルな内装と静かな雰囲気は考え事をするにもいいので、これからしばらくの間観察もかねて、深海魚の健康食食い倒れ紀行は続くと思われます。都心部~横浜にかけていいお店をご存知の方は、ぜひ教えてくださいませ。ミイラ取りがミイラになることを期待しているいろんな食事法の推進者の皆さま、今がチャンスですよ(笑)

■ここまで書いたことでわかると思いますが、深海魚は健康法やら代替医療やらエコやらにかなり懐疑的です。特に医療に関しては、小さいころから医学が好きだった(体系的に学んだわけではないので、表面的な知識しかないですが)こともあり、医学生でもなんでもないのに医者目線でものを言ってしまうところがあります。中学生のときに友人が怪しい代替医療にハマりそうになったことがあって、今以上に浅かった当時の私の知識ですら「危ない」と言い切れるようなものだったのに「でも、確実な根拠を持ってるわけじゃないし、自分の体をどうするかは自由だし…」と強く出られず、止められなかったという苦い思い出がそれに拍車をかけています。結局その後どうしたのかは聞いていないのですが、幸いなことにその人は今元気なので、決定的に自分を責めずにすんでいますが。さもなくば、悔やんでも悔やみきれない記憶になっていたでしょう。
とはいえ、それが自分の持っている医学的知識と反するものにはきちんと検証する前から疑ってかかり、最初からあら捜しをするような態度でのぞむことにつながっている面があります。もちろん疑似科学は批判に値しますが、疑似科学なのかどうか考える前からきって捨ててしまうのはあまりいいことではないのでしょう。近代医療それ自体がはらむ問題について、目をふさぐ原因にもなります。ここ数年、私がずっと医療と社会という視点でいろいろ考えたり読んだりしているのは、自分の中にすっかり内面化されてしまっている医療者目線をどうやって相対化していくべきか、という個人的な課題によっている部分もあります。

■外食で野菜ばかり食べていたからなのか、それとも家で適当に作っている食事のカロリーが低いのか、はたまた夏バテかわかりませんが、ここ1,2週間で体重が3キロくらい減りました。ダイエットの目標値を労なく達成できてうれしいのですが、思い当たる節もないのに急にやせるとちょっと不安です。どうしたんだろう。

■今夜のひとこと中国語
ダイエット→「減肥(ジェンフェイ)」
そんなわけで、必要なくなりました。あとはリバウンドに気をつけます。

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テーマ : 健康 - ジャンル : ヘルス・ダイエット

タグ : 健康 マクロビオティック ベジタリアン 医療 疑似科学

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Comment

●私の「地球環境と人間の関係」についての意見
私も、poohさんのブログ、Chromeplated Ratの「自然と道徳」を通して、今回の深海魚の「健康と思想、健康の思想」を読んで、poohさんのブログに、私のブログのまとめたもので 「地球環境と人間の関係」についての意見を述べさせていただきました。

主旨として、
<人間と自然(特に人の手が掛っていない赤道付近の森林)とは、共存できるのか?」と問われれば、私は、人間が文明化(進歩)するのを諦めるしか、道は無いような気がします。>
<人間の活動は、地球の長い歴史の上では、ほんの塵のような、たかだかの時間を生きているだけであり、人間の「地球(ガイア)を顧みない活動」は、自ら進んで、人類を滅亡への道に導くだけの行為だ、と思っています。>
<欧米日が、自分たちのことを棚に上げ、これ以上、中国、インド、ブラジル等が発展するのを抑えるのも、文明国(?)のエゴでしか無いと思います
大量の食用動物の育成・植物の人工栽培・人工孵化等のよる魚類の育成は、狭い地球の資源環境の中では、致し方無い手段かもしれませんが、そのことによって、自然(動植物)環境がおかしくなっていくのは、確実だと思います。>
<文明国の人間が、一度、味を占めたものを、他の貧しき国の人間に、自分達が我慢をして、分け与えようと考えるのが、人間心理上、不可能なのかもしれません…。
人類は、運命共同体の宿命として、人類の云う処の「環境破壊」で、破滅の道に、一歩一歩、進んで行くでしょう…。>等、述べさせていただきました。
mohariza |  2008.07.27(日) 09:39 | URL |  【編集】
moharizaサマ、はじめまして。

うーむ、悲観的な見解ですねえ(笑)
のちほどじっくりと読ませていただきます。コメントありがとうございました。
深海魚 |  2008.07.28(月) 10:24 | URL |  【編集】

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深海魚さんの健康と思想、健康の思想と云うエントリを読んだ。とても興味深い内容だったので言及させてもらう。
2008/07/24(木) 22:18:26 | Chromeplated Rat
■すごい文章を読みました。 ・おそまつな選択肢(在日か、日本人か)。 - hituziのブログじゃがー うちのブログの昔の記事(たとえばコレ)で...
2008/07/28(月) 03:18:23 | 今夜の焼きザカナ
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