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2008年03月10日(月)

メタファーとしての「白血病」 

※文中にでてくる医学用語や内容には間違いがあるかもしれません。ツッコミ歓迎します。

話題が沈静化するまで取り上げるのを控えていたのですが、そろそろいいでしょうか。いいよね、いいと言って。
・livedoor ニュース - 善意を裏切る「白血病」チェーンメール、まずは疑って
魚拓
深海魚がこの件を知ったのは免許合宿を終えて東京に帰ってきた日、友人たちと飲んでいるときでした。急に2人ほどの携帯がなりだして、「知り合いの親戚かなんかが急な治療で、B(Rh-)の血液を必要としているらしい」と言い出したわけです。事故か何かで大量失血したのかしら、と首をかしげながらも、その場に誰一人B型もRh-もいなかったおかげで「大変だねー」「ねー」という反応しかできなかったのでした。血液型性格診断がムカつく、なんて方向に話題を流しつつ、この件はそれで終わるはずでした。O+の私が血液を提供できるわけでもないので、それ以上関心を持とうとは思わなかったのです。
思えば2人同時にメールが届いた時点でおかしいと気づいてもいいはずなのですが、共通の知人からなのかと思い、気にも留めませんでした。

ところが。

【More・・・】

翌日目を覚まして携帯をながめると、私のところにも新着メールが入ってるじゃありませんか。

『友達の弟●君(3才)が『急性リンパ性白血病』になってしまい、16日に××××に入院しました。
●君の血液型RHマイナスBの血液は足りなく、治療を進められない状態です。早急に同型の血液が欲しいのです!職場や親戚の方等で、探していただきたいのです。もし同じ血液型の方がいた場合のやり方としては、普通に街角にある献血所や車で献血をしてもらいます。それが血液を管理する中央部に集まって検査の後、2、3日くらいで使えるようになるとのこと。 皆さんお忙しい中とは思いますが、どうかご協力よろしくお願いします。 』
なので、当てはまる人や、知り合いでいましたら、ご協力をお願い致します。

MLで流してもらって構わないです。というより、一人でも多くの人に協力してほしいので、是非MLで流してください。

(引用者判断により一部伏字)
文面を見て、思わず「なんじゃあ、そりゃ!」と叫びそうになりました。
たしかに白血病の治療過程で輸血を必要とすることはあります。特に、造血幹細胞移植(子どもの急性リンパ性白血病ではあまり行われないようですが)のために放射線の全身照射を行う場合はそうでしょう。が、いくら日本人には少ないB型でRh-とはいえ、特殊な型でもない血液を3歳の子どもの通常の治療に使う分さえ確保できないっていうのは考えにくいです。大出血などで緊急に大量の輸血がいる状態ならそれもありえるかもしれませんが、その場合でもすぐに血液センターから血液をかき集め、それでも足りない場合はその病院で緊急に供血をつのる、ということになるはずです。普通に献血をしたところで、その血液は多くの病院に回されるので、特定の一人の患者のところに届けることはできません。ていうか、そこまでせっぱつまった状態だったら2,3日後じゃ間にあわないってば。おそらくメールを受け取った人が直接、患者が入院しているとされる病院に押しかけたりすれば大事になってしまうので、被害を少なくするため(もしくはバレにくくするため)にそうしたのでしょうけど。
しかもどうやら、私のところに届いた文面は誰かが「校正」したもので、初期のほうに出回ったメールでは「血液が足りなく、このままでは手術が受けられません」となっていたようです。急性リンパ性白血病で手術って何よ。白血病をわずらいつつ何か外科手術を必要とするような疾患を併発する可能性もないとはいえませんが、それだったらそう書いてあるはずです。このチェーンメールを起草した人間は、白血病の治療に外科手術をしなければならないと勘違いしてたとしか思えません。まさか、骨髄移植は固形臓器の移植みたいに背中かっさばいて骨ごと取り替える、とか思ってたわけじゃないよね。そんなことしたら、ドナーさん死んじゃいますよ。
というわけでこのチェーンメール、おかしくない部分を探すほうが難しいほどツッコミどころ満載なのです。とはいえ、白血病に関しての知識をまったく持たない人ならば見抜くのは難しいのかもしれません。深海魚は医療関係の情報を集めまくる習性がある人間(魚?)なので(あくまで趣味です。医学生でもコ・メディカル志望者でもありません。専門知識は期待しないでください)、「普通の人」がどれくらい知っているものなのかはよくわからないのですが、これだけ事が大きくなってしまったことを考えれば、「知らなくてあたりまえ」なのでしょう。それでも、チェーンメール一般に対する耐性があれば、こんな事態は防げたはずです。どこかの地方放送局が真に受けて放送してしまったとかいう話も聞きましたが、本当ならば猛省していただきたいと思います。

と、ここまではいいのですが。いや、よくないけど。
内容のおかしいチェーンメールがこんなに広まってしまった背景には、「白血病」のもつイメージが働いていたと考えられます。深刻な病として無条件に同情を誘える病気の筆頭なのでしょう。「白血病」ということばが「薄幸」「死の病」をあらわす隠喩の役割を果たしているわけです。極端な話、「白血病を患い、闘病の末一命は取りとめましたが、長い間ギブスをはめていたために足の筋肉が弱ってしまい、松葉杖が手放せない生活をしています」とか訳のわからんメールを流しても広がってしまうんじゃないか、というくらいに。実はこのイメージとしての「白血病」がどこまで有効なのか実験してみようとも考えたのですが、倫理的に問題ありそうなのでやめました。
今回の騒動で私が思い出したのは、ベストセラーとなった世界の中心で、愛をさけぶです。といっても、私が読んだのは妹が買ってきたマンガ版だけなのですが。
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(2004/04/06)
片山 恭一、一井 かずみ 他

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このなかで、白血病になったヒロインに家族が病名を告知せず、「再生不良性貧血」であると告げたという描写があります。再生不良性貧血というのも難しい病気で、昔読んだ本では重症患者の1年生存率は約30%と書いてありました(今は治療成績が飛躍的に改善したようです)。骨髄移植の適用になることもあります。まったくもって「よかった、再生不良性貧血だ」なんて安心できるようなものではないのですが、それでも知名度が低いため「白血病」にともなうような絶望的なイメージがないことと、症状や治療法に一部共通する部分があるために利用されるわけです。隠喩としての「白血病」のもつ力の強さを、よくあらわした表現だと思いました。戦前でいう「肺病(肺結核)」に近い使われ方をしている、ということでしょうか。
この『セカチュー』にくわえて、吉井怜さんや故・本田美奈子さんのメディアでの取り上げられ方もあり、「白血病」のジェンダー化が起こっている、ということも考えなければなりません。また、幼く無垢な子どもの病気、というイメージもまとわりついています。小説やコミック、テレビドラマなどで読者や視聴者を「感動」させるために「白血病」が多用されるのと同じ力が、今回のチェーンメール騒ぎには働いています。「白血病」を出せば泣ける。人が動く。そうやって病気のイメージをむさぼる行為に、深海魚はなんだかとってもムカムカするのです。

ところで「白血病」と聞くと、多くの人が亡くなってしまうとか、骨髄移植をしなければ治らない、というイメージを持たれている方も多いかと思われます。というか、このエントリーで私が問題にした「隠喩」のもとになっているのはそういうイメージなのですが。しかし今回のチェーンメールにある小児急性リンパ性白血病はここ数十年で治療成績が大きく上がった病気です。治る確率(5年生存率?)は約80~90%といわれていて、その多くが移植を必要としません。長い闘病生活と副作用の強い治療を強いられ、命にかかわることもあるシビアな病気であることは変わりませんが、元気になる可能性は十分にあるのです。
もしこれを読んでいる方の身近にこの病気にかかった子どもさんがいても、どうか悲観せずに治療を支えてあげてください。

↓セカチューの嫌いなあなたはコチラ
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テーマ : 医療関連ニュース - ジャンル : ヘルス・ダイエット

タグ : 白血病 チェーンメール 輸血 RHマイナスB

【編集】 |  23:38 |  ファイル倉庫  | TB(1)  | CM(8) | Top↑

Comment

白血病といえばUDを思い出しますね.私もガンガン回した口です.

白血病にせよ癌にせよ「可哀想だ」といって手を差し伸べる人の大多数が,手を伸ばすだけで話は聞こうとしない印象を受けます.
興味を持ったら先ずよく調べてから,効果的な方法を と思うのは理系だからかな.
募金したり,献血したりする人は基本的には善良な人なんだとは思うんですが,
何も考えずに募金できるだけあって,本当に何も考えてn(ry
玉響 |  2008.03.11(火) 20:40 | URL |  【編集】
●あー。
そんなんありましたね。懐かしい。結局使い方がわからなくて挫折した記憶があります(笑)

こういうチェーンメールは、もう理系がどうこうってレベルじゃないと思います。実際、私はドのつく文系ですし。文系はこんな調べものもできないほどバカじゃないですよ!
移植手術のための募金に協力はするけれどドナーカードは持たない、といった人たちの欺瞞については森岡正博さんが書いてました。私は今の脳死判定のあり方を考えるとドナーカードを書けなくて、白紙のまま持ち歩いてたりするわけですが。しかも2枚も(意味無い)
けれど、それでも献血をする人は献血ルームを冷やかしに行く人よりはマシだし、募金だけする人は「死ぬ死ぬ詐欺」とか難癖をつけて患者さんの人格攻撃をする人よりも救いようがあると思うのです。偽善を非難するのは簡単ですけど、それが「何もしないこと」を正当化する言い訳になっていないか、自戒しなきゃなあって思います。

ところでこんなチェーンメールとは関係なくときどき献血には行くんですが、最近400ml献血しか募集してないことがあるんですよね。検査の効率と安全性をあげるためにそっちのほうが望ましいのはわかるんですけど、私は体格的に何もできなくなってしまうので、ちょっと切なかったりします。
深海魚 |  2008.03.12(水) 23:39 | URL |  【編集】
募金は手軽に人助けの満足感の得られる方法ですからねぇ.
いちいち調べたり,議論してみたり,署名活動に参加してみたり しち面倒臭い事しなくても良いわけです.
私は調べて自分で理解した事以外には手を出さないようにしているので,署名や募金は必ずその問題について調べて,納得した上でやってます.
(そしてドナーカードは結局書いてないですね.細胞に死は無いです.脳死判定下りても奇跡が起きるまでねばる!)

UDの2chにおける標語は[しない善よりする偽善],意味的には善だろうが悪だろうが,最終的な結果に結びつけば良い という,ある意味募金とは逆方向の内容.
チェーンメールで騙そうがすかそうが,兎に角,献血の量が増えれば良い  というのに何か近い物を感じます.
私はどちらかというとこういう考えの方が好きです.
献血もゲーム性を出したり,もっと商売(違)を考えなきゃ

因みに私も400ml献血はできませんorz
玉響 |  2008.03.13(木) 19:51 | URL |  【編集】
●あれれ
>[しない善よりする偽善]
…ん?
その理屈だと募金もお金を出した人たちが何も考えていなかろうが自己満足だろうが、結果的に治療費が集まればオールオッケーってことになりますよ。それってUDとはどう違うのでしょう?UDだって、集積されたデータを誰がどのように研究に応用し、成果がでた場合にどこの患者にどのように還元されるのか、プロジェクトが終わったら彼(女)らはどうなるのか、などなどまで全て調べて納得した上で参加していた人ばかりではないでしょう。というか、「よく考えていない」層も受け入れるからこそ、そのキャッチフレーズなのではないですか。
UDにコミットする人が募金に協力する層を非難する理由が、よくわからないです。募金をデザインしている側を批判するのならともかく。

ドナーカードを持たない人が移植手術のために募金するのが欺瞞だというのは、「お前が助かるためならばどこかの誰かが臓器を抜かれてもかまわないが、自分から抜かれるのは嫌だ」という態度に他ならないからだと思いますよ。しかもそんなエゴが「善」とされる、というのは倫理的にどーなのよ、ということかと。自信ないですけど。
とはいえ、実際問題カード書けないですよねー…。脳死を死として受け入れるかどうかというだけじゃなく、判定の精度もおっそろしいです。脳死の判定が下りてから自発呼吸が出たとか除脳硬直したとか、一時的に脳波が戻ったとか…意識が戻ったって話さえありませんでしたか。しかもドナーを増やすために、判定基準を緩めることが検討されてるとか何とか(ガタガタ
究極的には、誰を助けるために誰(何)からなら奪ってもいいか、という話なんですよね。まあそれが政治というものなんですが、天秤にかけられているのが生と死で、シーソーゲームの結果としての「判定基準」が「科学的」な正当化を利用している、という点で政治の残酷さがもっとも生々しく表れている気がします。といって心臓停止後なら問題ないかといえばそうでもないし、脳死にしろ心臓死にしろ死体移植のドナーになること自体を拒否したいわけでもないし、となると「心停止後の提供希望」にも「提供を希望しない」にも○をつけられなくて結果白紙です。
深海魚 |  2008.03.20(木) 20:29 | URL |  【編集】
ああ,私の立場はちょっと伝わりにくいかもしれないです.
私はどちらかと言うと,何かしら仕掛けたり作ったりする側なので「ユーザーが理解しなくても効果を発揮する」ような仕組みを考えたり作ったり,運用したりするのが好きなんです.
色々なユーザーが,どんなに阿呆でも成り立つようにするのが好き.だからUDや募金の仕組みは好きなんです.
にも拘らず,阿呆なユーザー自体は嫌いというか,軽蔑している所がある・・・
あまり良くない事なんでしょうがプログラマには多い気がします.
[ユーザーは常に想定の上を行く愚かな行為をする]というプログラマの定説もあるくらいですから;

ドナーカードは書いても良いんですが,いまいち書く利点がないなぁ と思います.
死後の臓器移植は多かれ少なかれ,私にとって不利益を生じます(少なくとも遺族は良く思わないでしょう).
それに見合った利益がなければ,イマイチ書く気にならない.
まぁ誰かが救われるのは良いことだと思いますが,結局のところ,間接的にすら自分の利益に成らない事には 積極的になれないってとこでしょうか.

脳の構造もろくにわかってないのに脳死判定ってのもかなり笑えます.いや笑えないか

あと,脳死後の臓器移植は日本には馴染まないんじゃないかな と思っています.
キリスト教圏では,肉体は魂の入れ物という考えが強く,魂が抜けてしまえばただの肉 という思想らしいです.
科学の台頭と共に,脳≒魂という認識になりつつあるから,脳死→臓器はゴミ となるとか.
一方,東洋では死後も肉体から人間性が失われないとか,そうした考えがあるようです.
物事を一点の要因に絞り込む西洋科学主義と,物事を周囲の関連性で捉える東洋思想の違いって奴ですかね.
(とはいえ,西洋人でもやはり抵抗感強いみたいですね;)
死してなお遺品に宿ったり,燃えカスの骨に宿ったりするわけですから,内臓なんて本人の中にあったモノとなると・・・

生死に関する議論をするのも面白いと思いますが,ES細胞を使った人造臓器研究への投資や募金を募る方が前向きで良いかな と.科学研究になら臓器提供しても良いかも.
玉響 |  2008.03.23(日) 22:50 | URL |  【編集】
●なるほど
ああっ、すいませんレスに気づいてませんでした;

開発者の観点に立ってるんですね。なんとなくわかった気がします。
私は「偽善」批判を何もしないことの言い訳にする人が嫌いという点では「しない善よりする偽善」に賛同しますけど、同時に「偽善で何が悪い」と開き直る人にもなんだかなーと思ったりもするので、立場としてはそう遠くないかもしれません。

うーん、日本に脳死移植が根づかない理由を「東洋思想」にもとめてる人は80年代の脳死論争の頃から結構いたみたいですけど、私は本当にそれで説明できるのか結構疑問なんですよ。というのも、周辺のアジア諸国は先進国のレシピエントを受け入れる「臓器輸出国」になっている現実がありますから。日本ももし経済的に貧しかったら、どうなっていたかなと。
他方、西洋のほうもそこまでドライなものなんでしょうか。わざわざ「パーソン論」なんてものを出してくるぐらいなんですから、かなり抵抗は強かったんじゃないかなと。キリスト教もあることですし。日本と欧米の差は案外、の牛が広く導入される前に一般人をも巻き込んだ広範な議論が発生したかどうか、にもよる気がします。「終末期」の「延命」医療にかかる費用の本人・家族負担が大きいと早めに治療をあきらめるから結果的に提供が増える、とかの医療の仕組みのちがいによる部分も大きいと思います。国によっては「希望したものだけがドナーになる」のではなくて、「拒否したものはドナーから外される」という仕組みになってたりしますしね。
今の日本の生命倫理(not 生命倫理学)では、脳死や脳死移植のはらむ問題を「文化」や「宗教」を使わずに語ろうというこころみのほうがトレンドだと思います。明示的に語っていなくても、無意識に「日本的」だか「東洋的」なものが前提になっている可能性はありますが。そもそもこうした問題を語るときに「神」がでてこないのがすでに「日本的」なんでしょうかね?

ところで「東洋思想」と「日本の思想」ってちがいますよね。脳死移植の普及の遅さを文化や思想の違いで説明している人たちは、普及を阻んでいるのが「東洋的」なものだと考えているのかそれとも特殊日本的なものなのか、どっちなんでしょう。
深海魚 |  2008.04.02(水) 01:47 | URL |  【編集】
>「偽善で何が悪い」と開き直る人にもなんだかな
いいよいいよー 君たちは何も考えずにボタンを押せばいいんだー(お前らもう少し考えろよ・・・)っていう矛盾

「神」そんな奴居ましたね,忘れてました..根っからの日本人ですね(笑)
日本の神様は臓器移植くらいOKしそう.どこかの神様が否定しても,どこかの神様が許可するでしょう.医療の神様かな?

東洋思想って言葉はよく使いますが,日本人だとどうしても感覚的に日本思想が混ざってしまいますね.
そもそも,中国人や韓国人と話していると,ああやはり東洋人とは心の底で分かり合える部分があるな と思うのと同時に,日中韓 いずれも西洋思想が蔓延して,表面上は西洋風だな とも思います.
東洋医学や,風水,仏教,神道などを参考に東洋的な物の見方を考えても,現代人の場合はそうした見方というのが,表面からは消えて,心の底の見えにくい辺りに定着している.

臓器移植の普及が遅いのは,民衆の抵抗とか以前に医療・政治的な面が大きいと思います(まぁ政治も民衆の心の表れなのかもしれないけど).
いざできるようになれば,やってしまうのが日本人じゃないかな.
みんながドナーカード持ってれば,特に考えずにドナーカードを書く民族だと思う.
ただ,見えない部分で抵抗が大きいんじゃないかなぁ.
臓器移植や脳死に興味のある人とばかり話しているとつい忘れがちになるけど「大衆の感情」っていうのは,興味が無い大多数の人が持つ感情なんだよね.
オフラインで興味の無い人に話を聞くと「何でもいいんじゃないの」的な日和見意見ばかりになるけど,オンラインになると大変酷くなる.
 関係ない話題になるけど,堕胎関連でこの温度差の酷さをよく体感します.
宗教家だろうが政治系の人だろうが,興味を持って議論する人は一定レベルの倫理観というか,客観性を持っているんだけど,そうでない人は「堕胎?殺人じゃん,糞女は死ねよ」とこんなのが多い.驚くことにいくつか違う場所で話題を出してもどこでも同じ.
なにより堕胎経験者自体が同じように考えている.
理系も口で「受精卵の状態なら細胞数が少なすぎて話にならない」と言っていても,同じように考えている人が結構居る.
生命の範疇とか知性の範疇とか,そうした科学的な説明では説得のしようが無い「思想」の恐ろしさを垣間見て,科学的な説得の力の無さがよく分かりました.
 玉響 |  2008.04.09(水) 00:34 | URL |  【編集】
●なんというか
私が「日本」とか「東洋」の使われ方についついこだわってしまうのは、「その「日本」ってあたしも入ってんの?」という非常に素朴な疑問ゆえだったりするので、その辺は生暖かい目で見てやってください(笑)
比較できるほどたくさんの非東洋人とお話したことは残念ながらないのですが、いわゆる「東洋人」(範囲はどこまででしょうね。日中韓+北朝鮮くらい?)と話していて「ああ、わかるわかる」となることも、表面上では一致できても根っこの部分でものすごい断絶を感じることも、思いっきり決裂してしまうこともあるのでなかなか「東洋的」とは何ぞや、をつかめないでいます。
そもそも、私の根っこに何があるのかもいまいち自覚できていないのですが。むしろ、自覚したい、相対化たいという欲望を持ってしまった時点で、「根っこ」を共有することはできなくなるのかもしれません。玉響さんがおっしゃる、見えにくい辺りに定着している「東洋的な物の見方」というのは、無自覚に思考の前提とされているような類のものでしょうから。
あと、話がずれますけれど、東洋の中、日本の中の断絶というのも無視できないと思うんですよね。いくら国民意識や総中流意識が浸透しても、実際にはいくつもの引き裂かれた立場が存在しているわけで。

私のもっぱらの関心は、「見えない部分で抵抗」を感じさせているものがいつどうやって形づくられ、どんなかたちで語られて(騙られて)きたか、にあります。
たとえば堕胎への素朴な嫌悪感(これ自体は、私も持っていますが)も、割と近代の産物なわけですよね。その前なんて、思いっきり間引いてましたもん。つくられたものがいつの間にか「当たり前の道徳」「自然な発想」とされ、それが本当に人々を「堕胎?殺人じゃん,糞女は死ねよ」なんて論理以前の段階で思わせるまでにいたる過程、というのは面白いです。もちろん単に知るだけじゃなくて、じゃあどう語っていくべきか、というのも考えないとですが。

それにしても
>「堕胎?殺人じゃん,糞女は死ねよ」
ってのは、胎児は女が単為生殖してできたとでも思ってなきゃでてこない発言ですね。「孕ませる性の自己責任」(by 沼崎一郎)と100回くらい書き取っていただきたいです。性における「不道徳」で女性だけが責められるというのは、明治以降の一夫一婦化の中で作られた性の二重道徳が背景にあるんでしょうか。教育こあい。
ところで中絶問題って「胎児は人間(人格?)であるから堕胎は殺人」と「胎児はまだ細胞が少なくて人間ではないから堕胎は問題ない」の対立で片付くわけではない気がします。その間に、たとえば「可能性の殺人」という考え方や、メスをいれられる女性のからだ、子どもに対する「責任」の帰せられ方の偏り、優生思想、産ませたり中絶/産児制限させたりを通して人口管理をおこなう国家など、山のようにいろいろ横たわってます。語りはじめるととんでもない長さになるんでやめときますが。
堕胎という「殺人」に対して、最後に田中美津のことばを引用しときますね。
「中絶させられる客観的状況の中で、己れの主体をもって中絶を選択する時、あたしは殺人者としての己れを、己れ自身に意識させたい。現実に子は死ぬんだし、それをもって女を殺人者呼ばわりするのなら、敢えて己れを罪人者だと開き直させる方向で、あたしは中絶を選択したい。ああそうだよ、殺人者だよと、切りきざまれる胎児を凝視する中で、それを女にさせる社会に今こそ退路を断って迫りたい。」
深海魚 |  2008.04.13(日) 17:18 | URL |  【編集】

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