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2007年09月20日(木)

ココロに残る子どもの読みもの 

絵本好きの大人、というのは結構います。そんな物好きさんたちのために、癒し系からキャラクターもの、シュールなホラーまで、本屋には各種の「大人の絵本」が並んでいます。
最近はケータイ小説からの書籍化がブームですが(深海魚はあいにく、読んだことがありません。誰かオススメ教えてくれ)、テキストがオンラインで見られるのを書籍化するとなると付加価値をつけなければいけないわけで、イラストを多用することが多いように思います。地の文の短さから考えると、これも一種の「絵本」なのかもしれません。

かくいう深海魚も、絵本好きの末席の風下あたりにこそっと遠慮がちに位置させていただいていたり、したりしなかったりします。数年前、私が中国に預けられていた頃に面倒を見てくれた親戚の男性が亡くなったときに、離れの部屋で幼いころに愛用していたオモチャたちを整理していてみつけたいわさきちひろのふたりのぶとうかい―ウェーバー音楽よりを大事に大事に保管していますし。
どちらかというと毒や不気味さを含んだもの(いわさきは違うけど)が好みなのですが、大人用に用意されたそれは「毒を好む大人」を意識して作られている分その本来の対象である大人が読むと予定調和を感じることがあります。可愛さや怖さを適度に楽しむことはできるけれど、それほど強いインパクトは受けません。いや、エドワード・ゴーリーもエミリー・ザ・ストレンジも好きだけどね?
というわけで、ここはやっぱり本物の児童書でしょう。深海魚が子どものころに読んだ中で、今に至るまでココロに消えない影を残している2冊を紹介したいと思います。

【More・・・】

ぼくのお姉さん (偕成社の創作)ぼくのお姉さん (偕成社の創作)
(1986/12)
かみや しん、丘 修三 他

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文庫化もされています。同名の官能小説(ぼくのお姉さん / 門井 文雄)があるようですが、もちろん一斉関係ございません。
障害児とその周囲の人々をテーマにした短編集。表題作の「ぼくのお姉さん」は、ダウン症の姉を持つきょうだい児が主人公の、普通にハートウォーミングないい話です。もし今読み返したら、ダウン症者を最終的に「善」に描くことによって物語につじつまをつけるのはどうよ・・・と、ちょっとだけ首をかしげるかもしれません。前半に両価的な描写があるので、かまわないのかもですが。小学校低学年向けの読み物を集めた本に載っていたので、深海魚はこの作品だけ先に読んでいました。その後学級文庫で単行本を見つけ、「あ、あの話だー」と喜び勇んで手に取ったはいいものの・・・重い。あとに続く「歯型」「あざ」がシャレにならんほど重い。
例えば「歯型」は、主人公が友達と一緒に、通りすがりの体が不自由な子どもをいじめるお話。いじめられた子は当然怒って反撃し、仲間の一人が噛まれてけがをしてしまいます。そのことで養護学校の先生と話をすることになった主人公たちは、相手の子が障害のために上手く話せないのをいいことに「いじめてない、向こうが勝手に噛みついてきたんだ」と言い張りますが・・・噛んだ子は、コミュニケーションを助けるための文字盤の「う」と「そ」の文字を延々と指しつづける、というストーリーになっています。その描写が子ども心につらくて、「早く本当のことを話してあたしを楽にしてくれー!」と叫んでみても、結局主人公は最後まで嘘を突き通します。噛まれた「歯型」は後ろめたさと共に一生「ぼく」の心に残るだろう、という独白がこの作品の結末です。
実は、後半の3作は全く記憶に残っていません。どうやら当時からチキンだった私は、怖くなってそこで読むのを止めてしまったようなのです。なんて、もったいない。

ピカピカのぎろちょん (fukkan.com)ピカピカのぎろちょん (fukkan.com)
(2005/10)
中村 宏、佐野 美津男 他

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こちらは学童クラブ(昼間家に保護者のいない低学年児童のための放課後保育所)に通っていたころに読んだもの。ずっと絶版だったのが、最近になって復刊されたようです。
ある日、町に「ピロピロ」がやってきて、学校も閉鎖され、テレビも何も映らなくなります。「アタイ」や弟の「マァ」などの子どもたちの遊び場だった噴水と鳩のある公園は塀で囲まれ、ギロチンのある処刑場になってしまいます。「アタイ」たちは塀を登ってギロチンを覗き、小さな「ぎろちょん」を作ってキュウリなどの野菜を「悪い」大人たちに見立てて「処刑」します。やがて「ピロピロ」は終わり、町は平穏を取り戻しますが、公園はいつまでも塀で覆われたままです。大人たちは普段どおりの生活に戻り、やがて子どもたちも「ぎろちょん」のことなど忘れてしまいますが、「アタイ」だけはコンクリートで囲まれた立ち入り禁止の空間にかつて鳩と噴水があったことを忘れられません。彼女は戸棚の引き出しに仕舞った「ぎろちょん」を、ときどき取り出してながめるのです。
もともとの作品が出版されたのは今から40年も前、安保闘争が盛り上がった「政治の季節」といわれた時代です。そのことがギロチンに代表される革命のイメージとしての「ピロピロ」というモチーフに意味深さを与えています。「世の中が変わる」というだけで、具体的に「ピロピロ」が何なのか大人たちにもよくわからず、過ぎ去ればみんながそれを忘れてしまう、というところもリアルで怖い。けれど一つ忘れてはいけないのは、「世の中を変える」ものだけが「ギロチン」で人々を押さえ込むわけではない、ということでしょう。

どちらも読んだのは10数年も前な上に、あえて調べなおさないで当時の記憶をそのまま書いたので間違いがあるかもしれません。しかし、そもそも子どもの記憶なのにこれだけはっきりと覚えているという時点で、この2冊が私にとってどれだけすごかったのかを物語っているように思います。他に「これがすごかった」と言う作品があれば、ぜひ教えてくださいな。

↓そもそも絵本が嫌いなあなたはコチラ
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テーマ : 子どもの本 - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 書評 絵本 児童書 和書

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Comment

●ん~
小さい頃はまったく本読んでなかったから

絵本に関してはあまり記憶がないな(´・ω・`;)

あ、でもなんか結構日記とかに書いてるかもしれないけど

「星兎」って本が内容自体は子供にもわかるような

本なんだけどなんか不思議な雰囲気を漂わすイィ本だった気がする. . .タブン

雲銀 |  2007.09.22(土) 09:11 | URL |  【編集】
●なんと
小さいころに制御不能な活字中毒症にかからないで済んだんですね!それは、うらやましい(笑)
『星兎』ですか。本屋さんで見かけたら、手にとってみますね。
深海魚 |  2007.09.23(日) 02:43 | URL |  【編集】
●タブン
あの本はないと思う(笑)
本当に偶然そのとき手にした本で
あれからは探してみても店頭に並んでないもん(笑)
興味があったら今度貸すよww
雲銀 |  2007.09.23(日) 06:09 | URL |  【編集】
●残念
そんな簡単に見つからなさそうな本なんですね・・・
貸してください、是非!
深海魚 |  2007.09.24(月) 00:02 | URL |  【編集】

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