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2007年02月02日(金)

レビュー3番勝負 

レイシズム レイシズム
小森 陽一 (2006/09)
岩波書店

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差別の構造がわかる1冊。「書き手」と「主題」というオリエンタリズムの基本構造から、フロイトの理論を援用した子どもが差別を内面化していく過程の説明、動物の行動からの見地などまで丁寧に解説されています。第3章の永井荷風『悪感』の分析も、とても面白く読めました。全体的にアホの子深海魚にはやや難しめでしたが、「言葉」に強く注目した分析は「お見事」の一言でした。脱アイデンティティに収録されている論文を読んだ方は、こちらもあわせて読むと理解が深められるのではないかと思います。
思考のフロンティアシリーズの巻末には基本文献案内がついているので、更に「レイシズム」を学びたければ何から読み始めればいいのかわかってお得です。というか、紹介されてる本を全て読みたくなってうずうずしてきます。うずうず。
ただ、関係のないところで繰り返しアメリカ叩きが出てくるのはどうにかなりませんかね?気持ちは、わからないでもありませんが・・・

オススメ度:★★★★☆

ファミリー・トラブル―近代家族/ジェンダーのゆくえ ファミリー・トラブル―近代家族/ジェンダーのゆくえ
金井 淑子 (2006/11)
明石書店

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「家族」と聞いて現代日本に暮らす私たちがまず思い浮かべる一般的な家族 ―性別役割分業に基づく夫婦を基盤とした核家族― いわゆる「近代家族」をめぐる今日の諸問題を、それらは近代家族概念そのものを書き換えてゆく可能性を含んだ「ファミリー・トラブル」である、という視座から書かれた1冊です。
第1部「近代家族の物語」と第2部「近代家族のポリティクス」からなり、さまざまな専門分野の著者たちがジョン・レノン、昔話、映画、ディズニーランド、中国、家庭科教育、障害者などを手がかりに、幅広い分析をしています。特に第9章と第10章は、以前読んだ障害学への招待―社会、文化、ディスアビリティ / 石川 准、長瀬 修 他に著者の都合がつかず収録されなかった障害者と家族/ジェンダー/セクシュアリティの問題を取り上げていて、興味を惹かれました。
ただ、「家族に最後に残る/残すものは何か」、家族のオルタナティブな形の具体的な記述が少なかったように思います。もちろんそのあり方は一つではありませんから「これが答えだ!」と指し示すことはできませんが、何らかの回答例を挙げる手前で立ち止まっているように見えました。それほど、私たちが近代家族を離れたもう一つの「家族」をイメージすることは難しい、ということでしょうか。

オススメ度:★★★☆☆

【More・・・】

新しい神様 新しい神様
伊藤秀人(主演)、土屋豊 他 (2001/04/27)
ビデオメーカー

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※セリフはうろ覚えです。間違いが多々含まれている可能性がありますが、ご容赦ください。なお、お気づきの点はコメントやメールなどでご指摘いただければ修正いたします。

みんな大好き雨宮処凛さんが、右翼団体の構成員&愛国バンド「維新赤誠塾」のボーカリストとして活動していた時代のドキュメンタリー・ムービーです。当時同じ超国家主義『民族の意思』同盟に所属していて、バンドのリーダーでもあった伊藤秀人さんも出演されています。
「あたしには自分の物語がない」「社会とつながるには、民族派にでもなるしかないじゃん」と語る雨宮さんに、監督の土屋さんはビデオカメラを手渡し、自らを撮影させます。それから、カメラに向かう雨宮さんの言葉のすごいこと。「自殺未遂とかして、どうしようもないときにたまたま出会ったのが天皇とか民族とかだった」「あたしがすがっているのはあくまで幻の英霊、幻の日本、幻の陛下。それに依存しないと生きられない」と、「民族の本質」や「崇高な天皇陛下」といった価値の絶対性を、自ら否定していってしまいます。

彼女のすごいところは、自分が不安から思想や「大きな物語」に依存して、「何かこの国に貢献している錯覚」に陥っているだけだと自覚している点です。今の社会や自分自身がどうしようもないのは「戦後民主主義が悪い」「アメリカの支配が悪い」「個人主義が悪い」から。私と同年代くらいの方なら「韓国が悪い」「中国が悪い」「自虐史観が悪い」から、といったところでしょうか。もちろん、「右」だけの問題ではなく「天皇制が悪い」から、というのも同様です。こうしたわかりやすい答えに安住することが問題の解決になんら寄与しないことに気づきもせずに、お題目を唱え続ける人がなんと多いことでしょう。そうやって単純な言葉だけで社会を計ろうとするのは、社会について考えているのではなく、社会にかこつけて思考停止していることに他なりません。自戒をこめて言いますけども。
もちろん、社会のせいにせずに全て個人的な問題として片付けることが正しいわけではありません。何事も「自己責任」「心の問題」で終わらせてしまうことも、また一つの思考停止です。結局のところ、誰かから言葉を与えられて満足することなく常に思考し続け、もがき続けながら自分なりの「社会とのつながり」を模索していくほかに道はないのでしょう。
正直なところ、ネット上や私の身の回りで「韓国が朝鮮が」と騒いでいる人たちに観せてやりたくてたまらないのですが、それだけで終わらせてはあまりにもったいない作品です。思想の「左右」を問わず、私自身も含めて、何らかの「大きな物語」に今の社会をただ当てはめて真理を見つけたつもりになってしまいがちな人々全てが観るべき映画だと思います。ただ、そういう傾向があると自覚していて、かつ現在精神的に辛い状況にある方は観ないほうがいいかもしれません。凹みます。死ねます。

本筋とは関係ないのですが、雨宮さんの部屋に貼ってある「めざせ!主演女優賞」「苦節24年 この映画に賭けてます」という貼紙がかわいらしくて、ドキドキしてしまいました。今とはちょっと違う雨宮さんのファッションも見ものです。
途中で雨宮さんが「前、監督があたしのこと好きなのかもって困ってたけど、土屋さんがあたしのことを好きっていうより、あたしが土屋さんのこと好きなのかもしれない。というか、多分好きなんだと思う」とカメラに向かって告白し、それに対してラスト近くで土屋さんがこれまたカメラに向かって「雨宮さんは自分のことをバカだとかどうしようもないとか言うけれど、俺は彼女は自分の言葉をちゃんと持った人だと思う。何ていうか、自分には彼女が必要です」と返しています。その後「今、土屋さんから電話があってカメラ返せって言われた。どうしよう、カメラなしでこれからどうやって生きろって言うんだろ・・・ねえ、あの人こうやってあたしたちから離れていっちゃうんだよ」と、泣きそうな顔で伊藤さんに語りかける雨宮さんを映して、作品は終わります。この辺の流れに、深海魚は思わず泣きそうになりました。ああ、こんな恋がしたい(無理)

オススメ度:★★★★★
いいから観ろ!

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テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

タグ : レイシズム 小森陽一 ファミリー・トラブル 金井淑子 新しい神様 土屋豊 雨宮処凛 伊藤秀人

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