FC2ブログ
2020年07月/ 06月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫08月
2007年01月13日(土)

上手に歩くということ 

突然だけど、あたしは多分歩くのが下手だ。「人生の歩き方」とか「地球の歩き方」とかそういう比喩表現じゃなくて、動作としての歩行そのものが、上手じゃない。
じゃあ何なら上手なのかと言われると、非常に困ってしまうのだが。

子どものころ道で転んでは「まっすぐ歩きなさい、ちゃんと歩かないから何もないところに躓くんだ」と、叱られてばかりいた。前向きにつんのめったり尻餅をついたりするばかりでなく、後ろ向きに転んで後頭部からアスファルトに落下するという離れ業をやらかしたこともある。あたしからすれば決して何もないところで転んでいるわけではなく、歩道のタイルのつなぎ目や、転がっている小石がちゃんとあったのだが、手足の大きくなった大人はそういうものに躓く感覚を忘れてしまうらしい。
成長してからも、「歩くこと」はあたしの悩みの種だった。階段を上り下りすれば、足を踏み外して転げ落ちる。猫背を指摘されて背筋をピンと伸ばしてみたら、今度は反り返っていたらしく「鳩歩き」と笑われる。帽子やカバンにバッジなどつけておこうものなら、壁にぶつけて3日と持たずにどこかへ消し飛ぶ。お気に入りの靴は異様な速さでボロボロになる。しょっちゅうバランスをとり損ねて、頭や肩を周りの障害物にぶつけるもんだから、仕舞いには慣れっこになりすぎて痛みすら感じなくなってきてしまった。「大丈夫?!」と周囲の人が駆け寄ってきてはじめて、自分が頭を打ったことに気づく始末だ。

【More・・・】

今だからこそこうやってネタにして笑えるけれど、一時は本当にコンプレックスだった。「深海魚、歩き方おかしいよね」と軽い冗談のつもりで語りかけてきた友人に「うるさい、何がおかしいんだ!」と本気で食って掛かってしまったこともある。
だって、この歩き方には一つもいいところがないのだ。笑われるだけなら耳を塞いでおけばいいけれど、誰だって大枚はたいたカバンや靴をぶつけたりこすったりして壊すのは嫌だ。階段から落ちれば大怪我をするかもしれないし、過去に2度ばかり駅のホームで足を滑らせて電車との隙間に落ちたときなどは、「ああ、あたしの人生これまでか・・・」と目の前を走馬灯がよぎった。
この両脚はごく標準的なつくりをしていて、体重を支えるだけの筋肉もついている。こんなことを書いたら足の不自由な方に怒られてしまうかもしれないけれど、二足歩行に向かない部分などこれっぽっちもないはずなのだ。一体、なんだってあたしはまっすぐに歩けないのだろう?
そうやって、頭を抱え込んでいた日々もあった。

けれど、本当にあたしは「相変わらず」歩くのが下手だろうか?
ここ1年ばかりは、歩き方を理由にしたおかしなあだ名をつけられていない。階段からも、そういえばしばらく落ちていない。たとえ段を踏み外しても、そのままずっと下の踊り場まで一挙に転げ落ちたりはしなくなった。何もないように見えるところで転んだり、見えているはずの電柱に突っ込んだりすることも以前よりは減っている・・・といいな。
ただ転ぶ、ぶつかる、痛い、と嘆くだけでなく、「あぶないっ」と思ったら手すりか壁に手をつけば痛い思いをしなくて済むことを学習した。支える手が横から伸びてきたら「何コイツ、狙ってんの?」と変な勘繰りをしないで素直に取るようになった。少なくとも、怪我をする可能性を減らせる歩き方を、あたしは覚えられたと思う。
今更そんなことを覚えてもしょうがない、とそう思うだろうか?亀の歩みでもいいじゃないか。牛の歩みでもいいじゃないか。少しずつでも、前へと歩いていければそれでいいんだ。

福袋に入っていた可愛いリボンブローチをカバンにつけて意気揚々と歩いていたら、さっそくどこかに引っ掛けて行方不明にして、落ち込む自分を必死で慰める深海魚でした。
モノを大事にしてないわけじゃないんだ、本当だよ。

↓嘘だと思うあなたはコチラ
FC2ブログランキング
人気ブログランキング
スポンサーサイト



テーマ : エッセイ - ジャンル : 小説・文学

タグ : エッセイ 歩行 バランス感覚 不器用

【編集】 |  23:56 |  日常  | TB(0)  | CM(5) | Top↑

Comment

●管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
 |  2007.01.14(日) 23:51 |  |  【編集】
●ふと
「『あなたは私と似ているね』
 そう言って笑った そう言って笑った♪」
by Syrup16g「吐く血」

なんて歌詞が頭をよぎったりしました。

個人的にはどんな目立つ点も個性と見とめたいですが、
社会はイレギュラーに厳しいですからね、それで苦しまれるのは悲しいことです。

あんまり救われない空気は見るに堪えないので、足に関する小話を書き逃げします。

 ある新聞記者が、アブラハム・リンカーンに尋ねた。
「人間の足は、どれくらい長くあるべきでしょうか?」
 リンカーンは、退屈そうな声でこう答えた。
「地面に届くくらいに長いこと」

・・・。
あしがる |  2007.01.15(月) 00:46 | URL |  【編集】
●もしかして
>あしがるサマ
似ている、ということはあしがるさんも歩けば棒とかいろんなモノに当たっちゃう方ですか?仲間だ~(笑)
いっそ同盟でも立ち上げようかしら。

今となっては周りの目はもう気にならないんですけどね。気にしてどうなるもんでもないので。むしろ、自分でネタにしちゃってます。このブログでも、結構使ってますし。
でも、物がダメになるのは切ないですね。私のブローチ…(泣)

あんまりに救われない雰囲気になりそうな表現は削ったつもりなのですが。にじみ出てましたかね;
リンカーンのお話、子どもの頃に伝記で読みました。カッコいいですよね、返し方が。
深海魚 |  2007.01.16(火) 01:19 | URL |  【編集】
どんな個性も、それを当たり前と認めてしまえば没個性となる。
そんな気がしてきた。

何にせよ、世間全体が「在るがまま」を受け入れるようになるには、まだまだ時間が掛かりそうだ。
2chの韓国嫌い然り、キリスト教対イスラム教然り。
俺が生きてる間にそんな社会になってるものか……

とにかく、
>足を踏み外す
これには気を付けてナ。下手したら重傷モノなんだから。
MR-T |  2007.01.16(火) 01:27 | URL |  【編集】
●まあ
「当たり前」じゃないからこその「個性」だしね。

道は遠いですよね。日々痛感させられます。
>2chの韓国嫌い
については、近いうちにちょっぴり関連のあるエントリーを書きますので、よろしかったら暇つぶしにでもご一読ください。「韓国」よりは「在日」のほうが主題になりますけど。

ありがとう。気を付けます。
深海魚 |  2007.01.17(水) 02:20 | URL |  【編集】

コメントを投稿する

URL
コメント
パス  編集・削除するのに必要
非公開  管理者だけにコメントを表示
 

トラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

 | HOME |