2006年08月09日(水)
逆流と反動を読む
| バックラッシュ! なぜジェンダーフリーは叩かれたのか? 宮台 真司、上野 千鶴子 他 (2006/06/26) 双風舎 この商品の詳細を見る |
遅くなりましたがレポート。昨今のジェンダーフリー・バッシングに対してジェンダーフリーとは距離を保っていた論者たちが分析・考察している書です。社会学者・人類学者・文学研究家・哲学者・運動家・ブロガーなど著者の立場もさまざま。
個人的に感銘を受けたのは瀬口典子さんの項と長谷川美子さんの項。
瀬口さんのところでは、バックラッシュ派がよく持ち出す「性別役割分業の科学的根拠」に対し人類学者の立場から科学(この場合は古人類学)もまたバイアスから中立とは言えず差別を強化する言説を繰り返してきたことを指摘しています。
一方、長谷川さんの論文は教師として男女混合名簿の普及に努めてきた立場から書かれたものです。男子優先名簿を改正しようという動きはジェンダーフリーという言葉が広まるずっと前から地道に実践されてきたものなのね。そういえば深海魚が小学生の頃は男女別名簿を使用していましたが、点呼のたびに先生が男女の順番を入れ替えたり、式典では男子1番→女子1番→男子2番という風に入れ子にしていたのを思い出しました。私は「まあ、男の子だけ先なんて変だから混ぜたほうがいいよねえ」程度になんとなく思っていたんですが、きっと先生方の中には外からは見えない戦いがあったんだろうと感慨深く思います。
本書が出版される前からジェンダーフリーやフェミニズム、それに対するバッシングの情報は本やネットなどで集めていたので一部元から知っていた知識もあったんですが(といっても、かじっただけの初心者にわかる程度のレベルだけど)、それでも444ページ(!)のボリュームで1,995円という値段には大満足です。用語解説や論点整理も秀逸。双風舎さんと各著者さん、ぐっじょぶ!
難を言うならば、冒頭の宮台さんの担当部分が長さ・難易度ともに私のような学問的素養のない人間には読みにくく本全体にとっつきにくいイメージを出してしまっていたのと、最後の上野さんのインタビューが一般受けを狙ったのか何なのか知りませんが誤解を招く表現がやたら多かったように思います。そんな過激な言葉でひきつけなければ見向きしてくれないほど読者はバカじゃない・・・と思う。おそらく上野さんの芸風なんだろうけど。
【More・・・】
オススメ度:★★★★☆ただ、これがどの程度保守系メディアや文化人のバックラッシュ言説を信じてしまう一般の人に浸透してくれるのかと言われると、ちょっと疑問です。400ページ超の本を読んでくれるのかどうか。
↓いくらなんでも遅すぎると思うあなたはコチラ。申し訳ないです、書いたつもりで忘れてました。


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